アクティブラーニングとは?子供が能動的に動くための学習方法
- 2018/6/5
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新しい教育方法アクティブラーニング
アクティブラーニングってしっていますか?
なんとなく聞いたことがある。
なにそれ?
そんな風にまだまだ世の中に浸透をしていない言葉となっていますね。
このアクティブラーニングですが、文部科学省より出された新しい教育の方法となっており、幼稚園、保育園、小学校、中学校、高校など子供への教育の方法に変革を起こすかもしれないものなのです。
そんなまだまだ世の中に知られていないアクティブラーニングについて紹介をしていきましょう。
アクティブラーニングとは?
では、まずそのアクティブラーニングについて紹介をしていきますね。
アクティブラーニングの本質的な結論をいうと「子どもが能動的に動くための学習方法」となっています。
今までの日本の教育は学習を受けている生徒が先生の話しや考えを聞いて授業を行う形式になっていたものを根本から変革をしていこう。
そして、今まで受動的な授業だったものを能動的な授業に変更をしていこうという考えになります。
※受動的・・・ 自分の意志からでなく、他に動かされてするさま。
※能動的・・・自分から進んで行い、他への働きかけを行うさま。
生徒が能動的に学ぶことにより「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」ことが目的で、生徒による学習の方法は、体験学習、教室内のグループディスカッション、ディベート、グループワークなどが中心となります。
この背景には過去に失敗をしたゆとり教育の影響があるのでは?と厳しい指摘もあるのは正直なところです。
関連記事→ゆとり世代の年齢はいつから?さとり世代との違いと使えない10の理由
文部科学省の見解は?アクティブラーニングの定義
このアクティブラーニングは日本の学校教育をつかさどっている文部科学省が行っているものとなっているのですが、どのような見解をもっているのでしょうか?
文部科学省のアクティブラーニングの紹介ページを参考にしてみると、
教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、
教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。(引用:文部科学省「アクティブラーニングの用語集」)
このような考えになっているのですが、なぜ今このアクティブラーニングを取り入れることになったのでしょうか?
なぜアクティブラーニングを入れるのか?その背景について
そもそも今の学校教育は先生が授業をして、それを生徒たちは一生懸命聞いて、ノートに書いて、勉強をしてテストを受ける。
つまり、悪い言い方をすれば子供の意思や考えというものは一切なく一方的に授業を受けているだけとなります。
昔はそのような授業で日本の識字率などは驚くほど向上し結果を残してきたのですが、今の時代にあっているのかといわれるとすでに遅いのでは?と考えられたのがこのアクティブラーニングを取り入れる大きな理由ですね。
背景には、
・人口知能(AI)が進化をして人間が活躍をできる職業がなくなるのではないか?
・今学校で教えていることは時代が変化をしたら通用しなくなるのではないか?
この考えを多くの大人が持つようになり、いまの子供たちが情報化やグローバル化など急激な社会的な変化の中でも未来を作っていける存在に育てるために教育方法から見直しをしていくことの重要性を説いた形となっています。
今の若い世代でも社会の経済状況や求められている人材というものが一気に変化をしてきており日本の今のままの学習方法では世界とたたかっていけないという理由もこのアクティブラーニングが入ってきた理由となっていますね。
世界での取り組みについて
実は日本ではアクティブラーニングという言葉がやっと浸透しつつあるのですが、世界ではすでに存在をしている教育方法です。
例えば、ハーバード大学のEric Mazur氏の授業では教師からの講義は行われず、学生たちが与えられたテーマについて3カ月取り組み、教師は学生たちに助言するのみという授業となっています。
その3か月間後に5~6人で構成されたグループで成果に関してプレゼンテーションをしたり、質疑応答をして教師や受講者がその考えにやプレゼンテーションについて評価をするという流れになります。
プレゼンテーションは身につくのはもちろんなのですが、それ以外にも自分の中の知識を引き出す、問題解決をどのように自分ができるのか?どのようにわかりやすく説明をすればプレゼンがうまくいくのか?
そして他のグループはをどのように評価をするのかというのがこの授業の特徴となっており正解がないんですよね。
日本での取り組み
日本ではまだまだこのアクティブラーニングに取り組んでいる学校は少ないのは正直なところです。
これは事例も少なく、実際に取り入れようとしている学校でもまだまだ手探りの状態であるというのが正直なところなんですよね。
そのため、実際にアクティブラーニングに取り組んでいる学校が少ないというのは正直なところなのですが唯一取り組んでいる事例として渋谷教育学園渋谷中学高等学校の報告があります。
渋谷教育学園渋谷中学高等学校の実践例はおもしろい
この学校は「自調自学」が校訓となっており、学校すべての活動がアクティブラーニングになっています。
例えば、主な活動にチャイムはなし、校則もなし、校長の講話、校外学習、自調自学論文などがあります。
面白い取り組みとしては、校外学習などは行き先が大雑把に決まっているだけとなっています。
鎌倉に行くので、そこからは行き先は決めずに各自でテーマを決めてクラスに関係なく自分の決めたテーマに似たグループで行動をするということになります。
そのテーマに基づいて自前に学習をしてきて、あとはフィールドワークとしてプレゼンテーションをするという流れです。
今までの学校教育のようなみんなで一緒にいってみんなで一緒に帰ってくる。
何かを学んできたのかどうかもわからないということはありません。
また、高校1年生の4月から始まり、高校2年生の11月に自分の論文を提出することになりますが、生徒それぞれが興味のあるテーマを考え、そのテーマに沿って担任を決るという考えがあります。
このようにアクティブラーニングは徐々に学校教育へと浸透しつつあるのですが実際にどんなことをとりいれていくのでしょうか?
アクティブラーニングの授業と問題点
今までは先生の話を聞くことがポイントとなっていた学校の授業が大きく変わってくるのがこのアクティブラーニングになっています。
今まではインプットが基本となっていた学校の授業が今後はアウトプットが基本になってきます。
たしかに今はグローバル化をしているため外国の人とも対等に話をしたり意見が言えないと将来的に仕事にならない可能性もあることからこのような授業は大事ですね。
日本での授業の流れ
今後はこのアクティブラーニングを取り入れた教育方法を実施していくことになるのですが、日本ではどのような点に授業のポイントをおいて進めていくのでしょうか?
主体的な学び
学ぶことに興味や関心を持ち、自己のキャリア形成の方向性と関連づけながら、見通しを持って粘り強く取組み、自らの学習活動を振り返って次につなげる「主体的な学び」が実現できているかをポイントに置きます。
例えば、学ぶことに興味や関心をもって毎時間見通しをもって粘り強く取り組むことや自らの学習をまとめたり振り返ったりして次の授業へつなげます。
対話的な学び
子供同士の協働、教員や地域の人との対話、先哲の考え方を手掛かりに考えること等を通じ、自らの考えを広げ深める「対話的な学び」が実現できているか。
これは複数人で社会に見られる課題や問題に関して自分で調べて実際に関連をする人に話を聞いたり、自らの考えを広げることです。
深い学び
各教科等で習得した知識や考え方を活用した、「見方・考え方」を働かせて、学習対象と深く関わり、問題を発見・解決したり、自己の考えを形成したり、思いを元に構想・創造したりする「深い学び」が実現できているか。
ある問題に対して自分から問いを出して課題の追求や解決の向けて探求の過程に取り組むことをいいます。
3つの視点が大事
またアクティブラーニングを行っていくうえで子ども自身の考えもとても大事だといわれています。
その考えというのは以下の3つとなっています。
・何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)
・知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)
・どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力、人間性等)
知っているだけの知識人ではなく、それをどのように使って、どのように社会に貢献をするのかということが大事なので、もちろん国語や算数、理科、社会という勉強は大事です。
しかし、そこから自分の中にある引き出しをどのように使えるかがアクティブラーニングのポイントになってくるといえますね。
教材も3つの視点を意識したものになっている
この3つの視点が日本のアクティブラーニングを進めていく中で大事だといわれています。
そのため、学校の教材や学校の先生向けの本などもどんどんアクティラーニングへむけて変わりつつあると言われていますね。
数学にしても今までは個人で解いて答えを導きだすというのが定番のやり方だったのですがアクティブラーニングになるとみんなで対話。
つまり相談をして答えを求めような形になります。
そのため数学が得意な理系、国語が得意な文系などは関係なく理系も文系も一緒に数学Ⅲを学ぶなんでこともあり得ますし、今まで数学が苦手だった子供も好きな教科になるかもしれません。
あくまでも対話が基本となりますので子供たちのコミュニケーション能力は向上していくでしょう。
アクティブラーニングの問題点
こんな風に現代の流れに合わせて子供への教育方法を変更してより良い大人へと成長をしていく授業をしていくことは大事なのですが、すべてがうまくいくわけではなくもちろん問題点や批判もあるのは正直なところです。
その問題点について書いていきましょう。
生徒が誰もリーダーをしなかったら?
グループが基本で自分の考えについて学ぶということなのですが、これが今の子供にできるのか?というところです。
日本人はただでさえ人の前で話をしたり、プレゼンテーションをしたりすることを苦手にしています。
そのため課題を与えたとしてもそのまま誰も話し合いもせずリーダーにもならずに授業が進まないという可能性があります。
先生の力量により授業の質が変わる
アクティブラーニングの大事なことは先生がいかに子供たちに自分の考えは言わずに考えさせるか?
また、答えをいうのではなく子供から答えを引き出すのか?という点が重要だと言われています。
しかし、今の先生たちの年代の中にはゆとり世代の先生もいれば、受動的な授業しかしたことがない人もいますしディべートやプレゼンテーションなどしたことがない先生もいます。
そんな先生たちがいきなり能動的な引き出す授業ができるのか?といわれています。
つまり、生徒がアクティブにならなければこの授業が成り立たないと言われていますので将来的に効果が期待できるのかということになります。
先生のレベル分けが明確化される可能性もある
この対話式の授業ですがとにかく先生は口を出さずに子供たちが答えを導き出せるような授業の進め方をしなければなりません。
今までの画一的な授業とは全くことなりますのでかなり注意をしなければなりませんね。
これは個人的な意見なのですが、娘の担任の先生は教師になってすでに20年近いベテランなのですが塾の講師をしていた私から見てもお世辞にも授業がうまいとは言えない人材です。
むしろ下手くそで私でももっとうまくできるというくらいの先生です。
今の画一的な授業ですらきちんとできない先生が、対話型や相手の意見を引き出すようなアクティブラーニングの授業ができるとは到底思えないというのが正直な感想です。
つまり、子供のレベルの学校の先生によってことなりますし先生のレべルが子供の成長に直結しますね。
公立の先生も公務員試験で採用をするのではなく教師としての力量を見て採用をする時代になりそうな気がしてなりません。
基礎となる小学校、中学校が難しい
幼稚園や保育園などは「これについてどう思う?」と個人的な考えを発表できる場を作ることで少しずつアクティブラーニングの基礎的なことは進んでいくかもしれませんし、高校生くらいになると学校の生徒のレベルが学習のレベルとなってくるため話も合いやすいです。
しかし、小学校、中学校でのアクティブラーニングの基礎作り的な時期がもっとも難しいのでは?と言われていますね。
2011年に大学にて行った失敗例
もちろん、文部科学省も机上の空論でやりなさいと言っているのではなく、国が教育関係機関(大学や研究所)を使ってアクティブラーニングを試験的におこないました。
2014年11月に「アクティブラーニング失敗事例ハンドブック」としてまとめられておりそこから得た事例や失敗例についてもまとめっられています。
そこから一部の失敗の抜粋を紹介していきましょう。
・最終的に発表する課題について、具体的にどのように発表すればよいのか、解決案として何を求められているのかについて、基準が曖昧であった。
・学生は成績に関係のないタスクに対して努力しようとしない。また教員も学生のやる気がないのは学生のせいであると結論づけ対策を練らない。
・昨年度とは異なる新しい授業スタイル、成績評価方法について、学生・教員から不満が噴出した。授業改善アンケートにおいて、講義の運営について不満足の結果が現れ、教員のネガティブキャンペーンが開始されている。
・本事業に対する意識・対応レベル等が低い教員が多い学科は、学生への周知を怠る傾向にある。
・教員の関与度合いが低い取り組みでは、学生は自分たちの勝手な思い込みにより低いレベルで自己満足し、また最終成果達成への危機感も欠如している。一方で、教員が積極的に関与した取り組みでは、連携企業求める水準まで成果を出そうとするあまり、学生の気づきをまたずに行動を指導するケースが増えてくる。
(一部抜粋引用:文部科学省「アクティブラーニング失敗事例ハンドブック」)
もちろん新たなことに挑戦をすることになるので批判も問題もあるのは当然なのですが、今まで行ってきた教育の方法の根本をかえることになるため、問題点は今後もたくさん出てきそうです。
この抜粋をした内容の中でも問題点をまとめてみると、
1,学生間の温度差がありグループのよりディベートでもレベル差がでる。
2,教員が答えを言わない教育になるためかかわり方が不明瞭。
3,子供一人一人の評価をどのようにすべきかわからない。
今までは答えがあり、その答えを導き出すような教育方法だったのに対しアクティブラーニングでは答えはなくそれを自らが引き出すようなかかわり方をしなければならない進行をする人の力が重要となります。
アクティブラーニングへの批判
この法案については文部科学省が行っていることなのですが、与野党からは「ゆとり教育の再来か?」と批判を受けています。
その理由は「児童や生徒が議論を通じて答えを探求する学習形態」という部分がゆとり教育を似ているという理由から言われていますね。
もちろん、今の時代に合っている教育法は今の受動的な教育かといわれると違う気がします。
そのためこのアクティブラーニングをうまく運用をしてほしいと思いますが、何よりもこのアクティブラーニングの目的は本質を理解して取り組めるような人材である先生に出会わなければしんどいことになるでしょう。
日本の学校教育は変わってきている
これはテレビでもおなじみである尾木ママこと尾木直樹さんも言っている事なのですが、日本の教育はどんどんと変わってきています。
今、小学生や中学生くらいの年齢の子供たちは大学入試などで求められることが間違いなく変わってきます。
このアクティブラーニングの記事でも書いているように日本の過去の画一的な教育から「個」を認める能動的な教育へと変わってきています。
ここの背景には2018年より国際的な学力調査も代わることが決まっているからであり日本の教育は今までは日本で通用すれば良かったものを世界で通用する人材に育てるという考えから変更をしています。
世界基準のキー・コンピテンシーを身に着ける教育への転換が急がれています。
キーコンピテンシーとは、「状況を分析し、他人の論理的に説明をし様々な分野の知識をつなぎ合わせて問題解決に導いていく能力」のことを指しており、答えが一つではないことにどのように対応していけるのか?どの状況を切り開いていくのか?などの問題解決の力のことです。
このように日本の子供たちも世界基準で育っていかなければならないため、教育もどんどんと変更をしている現状がありますので2020年からは問題解決力や論理的思考を育てるために小学校ではプログラミングの授業も入ることになっています。
関連記事→プログラミングの基礎を小学生の子供が学ぶ?学校での教育が必修化
教育現場の変化に親もついていこう
このように日本の教育はどんどんと変化をしています。
例えば、今の親世代の時は教科書もほとんどが白黒で理解もしにくかったものが今はほとんどがカラーとなっているためすごく理解がしやすいようになっていたり、教育の進め方は変わってきていたり、新たな教育が入ってきたり。
もちろん知っていると思いますが英語教育も10年前くらいはなかったのですが今は小学校でもあたり前になっておりネイティブの先生もたくさんいます。
小学校、中学校の教育はどんどんと変わってきていますので大事なことは親もきちんとした情報を集めることです。
例えば、2020年に大幅に大学受験は変更になると言われていますが知っていますか?このアクティブラーニングについてしっていましたか?プログラミングが習い事でも今話題になっているんです。
こんな風にここ数年で一気に教育が変わりますし受験の問題や選考方法についても大きく変わってきます。
親も情報をしっかりと仕入れて正しい教育を子供に提供しなければ結果的には子供に悪い影響を与えることになりますので気を付けるべき問題といえます。
昔の全員が一緒、みんなで同じことを学ぼうという考えは終わりました。
今の時代の子供たちは個性を大事にすることはもちろんなのですが、答えが1つではない問題、答えがない問題に対応をする力が求められています。
それだからこそアクティブラーニングのような能動的な教育が必要なのですがあとは学校の先生がこのような変化のある教育についていけるのか?
また、教える力量があるのかという点が重要になってくるといえますね。
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